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「休学しても通う価値がある。ペンシルベニア大生の私が、42 Tokyoで将来の可能性を切り拓くまで」
42 Tokyoの新宿キャンパスには、さまざまな背景や経歴を持つ学生が集い、学んでいます。今回お話を伺った宮原 毬*さんは、アメリカのペンシルベニア大学に在籍しながら、休学制度を利用して通う学生です。
就職活動を終え、2026年4月から外資系投資企業の投資調査部門で働くことが決まっている宮原さん。なぜ42 Tokyoでプログラミングを学ぶことにしたのか。通いながらどんな学びやスキルを手にしたのか。「仲間との交流の中でキャリア選択の不安がなくなった」と語る宮原さんに、これまでの42 Tokyoライフを振り返ってもらいました。
多様な出会いと自己成長を求めて名門ペンシルベニア大学へ。高校時代にはビジコン出場経験も
──宮原さんは日本ではなくアメリカの大学に進学されたそうですね。その動機を教えてください。
日本で生まれ育ちましたが、中学時代に家庭の都合で、10ヶ月間アメリカで暮らしました。帰国してからも、たくさんの人種や文化に囲まれ刺激的な時間を過ごしたアメリカ生活が忘れられず、アメリカの大学に進もうと思いました。
アメリカで進学したいと考えたのは、たくさんの人に出会って人間的に成長できる場所に身を置きたかったから。日本の大学に進学しても、アカデミックな学びやそれなりの成長を得ることはできるかもしれないけれど、きっと自分と近いバックグラウンドの人としか交流できずに終わってしまうと感じました。親元を離れ海外で1人暮らしをしながら、さまざまな価値観や文化に溢れた世界に飛び込めば、きっと知識を得る以上に人として成長できるはず、そう考えたんです。
受験したのは難関といわれるペンシルベニア大学で、学力試験以外にも、論文試験や先生からの推薦状提出、高校時代の課外活動実績の提出などさまざまなハードルがありましたが、2021年8月に無事入学しました。
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──プログラミングに興味を持ったきっかけはなんですか?
きっかけは高校時代、同級生にプログラミングの存在を教えてもらったことです。世界最大級の国際的なアプリ開発コンテスト『テクノベーション・ガールズ』に一緒に挑戦しないかと彼女から誘われて、ほとんど知識のないまま出場しました。
当時の私はプログラミング未経験だったので、ビジネスモデルの設計を担当しました。隣でどんどんアプリ開発を進めていく彼女の姿を見て、自分でもプログラミングができるようになりたいと思うようになり、大学の自由科目も、プログラミングを選択しました。
キャリアの選択肢を増やすため、就活と並行して42 Tokyoの入学試験に挑戦
──大学を休学してまで、42 Tokyoで学ぼうと思った理由は? エンジニアを目指されていたのですか?
大学2年生の時に一時帰国して日本の企業でインターンをしたのですが、その会社の社員さんが42 Tokyoについて教えてくれたんです。調べてみると、学費は無料で、職業・年齢さまざまな方が通っているとのこと。「ピアラーニング」*という学習方針もすごく楽しそうで、魅力的なスクールだと感じました。
この時点で、卒業後の進路はまだ決めていませんでした。エンジニアになることも少しは考えていましたが、大学の授業だけでは実践的なスキルは身につけられないと感じていたので、躊躇していたのです。
ですが、42 Tokyoでならプロレベルのスキルが身につけられ、いつかエンジニアを志した時に力になるのではないかと思い、入学試験「Piscine(ピシン)」を受けることを決意。合格できるか不安でしたが、受かればすぐに大学の休学手続きをしようと決めていました。
結果は、無事合格! アメリカは6〜8月が長期休みなので、その間はベルギーでのインターンに参加し、2024年9月から42 Tokyoに通い始めました。せっかく日本に帰るので、同時期に企業インターン活動も並行して行うことにしました。
────Piscineはどのような試験でしたか?
学生が一斉に筆記テストを受ける一般的な日本の大学入試とは大きく異なり、1ヶ月間、膨大な課題が出て、プログラムを制作して提出し続けるスタイルでした。個人の制作課題の他に、チームで取り組む課題があるのもPiscineのユニークなポイントでした。
特にユニークだと思ったのは、受験生同士で書いたコードをチェックし、レビュー(評価)しあったことです。予定を合わせてみんなで42 Tokyoのキャンパスに集まり、お互いのコードを評価しあうだけでなく、わからない部分は相談しあったりもしました。キャンパスは24時間365日オープンなので、近い席に座った受験生とも積極的にフィードバックしあいました。入学試験なのに、みんなで一緒に挑戦している感覚で楽しかったです。
──ともにPiscineに挑戦した受験生には、どのような人がいましたか?
卒業後の進学先として受験している高校生が多かったです。その他にも、すでに社会人として働いていて、スキルの学び直しのために来ている人もいましたし、私と同年代で日本の大学に通う現役の学生もいました。私のように大学を休学して挑戦している人、メインの大学と並行して学ぼうとしている人などさまざまでしたね。多様な出会いを求めてアメリカに渡った私にとっては、またとない機会だと感じました。
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自発的なコミュニケーションやタスク管理能力……学べるのは社会で必要なスキル
──42 Tokyoにはどのようなスケジュールで通学していますか?
ペンシルベニア大学を休学して日本にいる時は、週3〜4回夕方頃に42 Tokyoキャンパスに通い、1日4〜5時間課題に取り組んで夜遅くに帰宅。日中は就職活動やインターンに充て、土日はアルバイトを入れています。忙しくはありますが、その分充実しています。
──42 Tokyoの学習スタイルについても教えてください。
42 Tokyoの学習スタイルは、入学試験と同様にユニークでした。一般的に学校といえば「先生がいて教科書を読みながら学ぶ」というスタイルが連想されると思うんですが、42 Tokyoには先生も教科書もありません。提示されたプログラムの制作課題に対して、自分の力でその課題を読解し、リサーチを行い、生徒同士でレビューしながら答えを見つけていく。これが「課題解決型学習」と「ピアラーニング」という、42 Tokyoの学習スタイルなんです。
42 Tokyoでは、自ら学習する力とコミュニケーション力が鍛えられます。教えてくれる先生がいないので、自分でリサーチして考えながら課題を解かなければなりませんし、自分が書いたコードに対して他の生徒にアドバイスを求めながら改善する必要があるからです。また、自分が教える側に回ることで理解が深まることも多く経験できます。コミュニケーションを通じてしか知見を高めることができない環境の中で、他者と協力して物事を進めるという、社会で必要になりそうなスキルがどんどん蓄積しているように感じています。
──他にもプログラミング以外で身についたスキルはありますか?
課題把握能力や論理的思考が鍛えられたと思います。与えられる課題は「このアプリを作ってください」というざっくりしたものが多いので、どのようなコードを書けばいいのかを把握し、それをどうリサーチして解釈すればいいのかを論理的に考える必要があるからです。
他にも、プロジェクトマネジメントスキルが身につきました。例えば2人1組のチーム課題があったのですが、お互いの予定が合わずに、顔を合わせて課題に取り組む時間がほとんど取れなかったので、どんなタスクを進めておくか期限を決めて設定し、各自持ち帰ってそれを進め、登校日に進捗をシェアして進めていくようにしました。タスクの棚卸しやスケジュール管理にNotionなどのクラウドツールを活用するなどして、計画的にタスクを進めたのは、とても良い経験になりました。
42 Tokyoは、将来のさまざまな選択肢を得られる場所
──学習以外にも、42 Tokyoで過ごした時間の中で印象に残っている経験があれば教えてください。
通い始めた頃は、就活の時期と重なっていたので、将来自分がどんなことをやりたいのか分からないまま就職先を決めなければいけないことに強い不安を感じていました。
しかし、42 Tokyoにはエンジニアだけでなく、医師やデザイナー、建設業者など、幅広い職業の人たちが在籍しています。そんな多くの“先輩社会人”たちとふれあい、話を聞いているうちに、ファーストキャリアを選ぶことに対するプレッシャーが軽くなっていきました。転職や独立など働き方も多様になってきているし、いつどのような道にも進むこともできるのだから、最初から選択肢を狭めて考える必要はない──と考えられるようになりました。将来のキャリアに対する不安が軽くなったことも、42 Tokyoでの経験のおかげだと思っています。
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──将来のキャリアについて、今後の展望を聞かせてください。
休学期間が終わるので一度アメリカに戻りますが、来年の4月には日本に帰国し、内定先で働く予定です。働き始めても、キャリアの選択肢を広げ続けるために42 Tokyoでの学習は継続し、専門カリキュラムにも挑戦したいと思っています。仕事との両立は大変かもしれませんが、退社後や休日の時間をうまく使って、学習を進めたいです。
プログラミングとは異なるジャンルの仕事に就きますが、この先エンジニアの道を志すこともあるかもしれない、そう思えるくらい、将来の可能性を広げてワクワクさせてくれた42 Tokyoには、感謝の気持ちでいっぱいです。
──最後に、42 Tokyoを志している人にメッセージを!
今すぐにエンジニアになりたいという明確な夢がなくても、42 Tokyoでの時間はきっと充実したものになるはず。私は休学してでも通う価値のある学校だと心から思っているので、学びに貪欲な人にはぜひ挑戦してもらいたいです。
2025年1月インタビュー実施
*ピアラーニング:42では、誰かの指導を待つ受動的な形式ではなく、学生同士で教え合って課題に取り組む能動的な学習形式を取っています。
*宮原 毬
中学生時代、10ヶ月のアメリカ生活を経験。高校卒業後はアイビーリーグの名門校・ペンシルベニア大学に現役合格。哲学や脳神経学を学ぶ。2024年1月に入学試験Piscineに合格し、晴れて42tokyoの生徒に。大学を休学して一時帰国し、同年9月から学習をスタート。2026年4月からは外資系投資企業の投資調査部門で勤務予定。
現在、42 Tokyoでは入学者を募集しています。以下の要件をすべて満たす方であれば、経歴や経験に関係なく誰でも応募することが可能です。ぜひお気軽にご応募ください。
【入学資格】
① 入学時18歳以上であること
② 42 Tokyoキャンパスに通学できる方
受験者のキャンパス滞在時間は週平均35〜56時間 (1日あたり5〜8時間)です。
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