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長いソフトウェアエンジニア人生を懸けて。まっすぐにPiscineに飛び込んだ、高専の夏休み。

2020年9月入学の佐々木潤一さんは当時、高専電子機械工学科の4年生。高専の勉強とは別に独学で始めたプログラミング学習で大きな壁にぶつかります。そのタイミングで目にした42東京開校のニュース。
現役高専生が真っ直ぐに飛び込んだ入学試験の結果は?そこで手に入れたものとはなんだったのか、話を聞きました。

希望の進路に進めず、独学でプログラミングを始めた高専時代

ーコードを書いてみようと思ったきっかけは?

佐々木:小学校4年生くらいからパソコンを触る機会が増え、PSPの改造をしたり、CD を作ったり、友達とオンラインゲームをしたりするようになったんです。当時はプログラミングをするわけでもなく、ただ遊んでいただけなのですが、ある時ふと「ゲームってどうやって作るのかな?」と気になったことがあって。

それで調べてみたら、コードを書くことで動かせることを知り「プログラミングというものがあるんだ」とわかりました。それまではずっとゲームをする側だったのですが、作る側に興味を持ちはじめて、「自分でソフトウェア開発をしたい!」と思うようになりました。

ーそれでプログラミングの道に進んだのですね。

佐々木:いえ、中学卒業後は高専で情報系の勉強をしたいと思ったのですが、残念ながら入試で落ちてしまい...。電子機械工学科に入学し、ソフトウェアとは真逆の電子回路やエンジンの溶接、機械工作や機械設計などといったハードウェアを扱うようになりました。

ーいきなりのアクシデントですね...

佐々木:その時は高専に合格したことが嬉しかったし、「情報科落ちたけど、電子回路とかも面白そうだしいいや」って感じで、進路が違ったとは思っていませんでした。でもやっぱり、高専で勉強している中で頭のどこかでプログラミングをしたいって思いがあり、1年目の夏休みに図書館で本を借りたんです。 『Pythonスタートブック』って言う本でした。

ーそこから独学でプログラミングを?

佐々木:1年の国語の試験で赤点をとってしまって留年したんですね。2回目の1年生はものすごく時間に余裕があって。「暇だし、自力でがっつりプログラミングするか!」って思ってプログラミングの勉強を始めました。授業以外の時間はほとんどコードを書いていたと思います。とにかくずっとコードを書いていた。そしたらプログラミングがとても楽しくて、ハードウェアではなく、やっぱりソフトウェア開発の道に進もうと思いました。

ー2年生以降は学業とプログラミングの両立ですか?

佐々木:はい。授業では基礎科目とハードウェア寄りの科目を勉強して、放課後に寮で本やYouTubeを見ながら独学でコードを書く生活をしていました。 休み時間もプログラミング関連の記事を読んだり。モーター制御などのプログラムを書いたりするときがあったのですが、その時は両方の知識が生かせました。

ーその時、情報系の学科はどのように見えましたか?

佐々木:情報科には、IT企業による出張授業があったのですが、僕は学科が違ったからそれには参加できなかった。そういうのは悔しかったです。

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高専時代にはハッカソンに出場

仲間がいることの喜びを実感したPiscine。新たな発見と、何も分からないという絶望が入り混じる。

ー独学でのコードの学習は順調でしたか?

佐々木:いろんな作品を作って自分なりにアウトプットできていたし、ハッカソンに出たりしていた時は「独学でもいける」って思っていたこともありました。 ただ、「表面的な技術しか触れていないな」というコンプレックスや行き詰まりを、段々と感じるようになってきたんです。独学では、自分の興味のある技術だけを触っていたのですが、ある程度やると基礎の重要性に気づき、自分の学習スタイルではそれを学んでこなかったことに気づきました。

ー基礎を知らないことによる行き詰まり、ですね。

佐々木:そうです。コンピュータサイエンスの基礎がないことによって、新しい技術を習得するのが難しく感じたり、少し難解な内部の構造の説明が入ると途端に分からなくなることも度々あって。

ー42東京を知ったきっかけは?

佐々木:「これは一度基礎からしっかり学びたい!」と思っていたちょうどそのタイミングでフランスの42が東京で始まるというニュースを知ったんです。Twitterを見ていたらたまたま42東京のプレスリリースが流れて。実際に42東京のカリキュラムを見てみると、従来のプログラミングスクールとは大きく異なっていたので「ここならコンピュータサイエンスをしっかり学べそう」と直感し、すぐに入学試験Piscineの申し込みをして、高専が夏休み期間中の2020年8月にPiscineを受けました。

ー試験を受けた感想は?

佐々木:それまでは自分の周りでプログラミングの話ができる人が少なかったので、「人とプログラミングの話ができるのは楽しいな」と思いました。42東京で一緒に同じ課題に悩んだり相談したりする人ができたのは嬉しかったです。

ー独学でやってきたとなると、仲間がいること自体が新しい経験ですよね。

佐々木:当時はあまりプログラミングの話を人としたことがなかったので、どんなふうに他の人に話しかけて、どのくらい人に頼っていいのか全く分からなかったんです。でも実際に試験に参加してみると、仲間と相談しながら課題を解き、一緒に乗り越えていくこと自体が楽しく感じられるようになってくるんです。それまで独学でやってきたからこそ、仲間のいるありがたみを強く感じるというか。

技術的にも精神的にも、一人では乗り越えられなかったのではないかと改めて思います。何より「解けた!」という喜びを共有できる人がいるのは、それだけでとても嬉しいことなのだと感じました。

ー課題は難しかった?

佐々木:難しかったですね。全体で15個ほど課題があるのですが、結局いくつかの課題は入学試験中に解ききれませんでした。でも新しい課題に挑戦する度に「こんなのがあったのか」という発見と「何も分からない」という絶望的な感情を同時に味わえるのは面白かったです。

ー合格がわかった時は?

佐々木:高専と両立できるか少し心配な気持ちもありましたが、受からなかったらまた独学で頑張らなくちゃいけない。それは嫌だなって。カリキュラムとコミュニティの両方が手に入ることが、シンプルに嬉しかったです。

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42東京で鍛えられた「本質を見抜く力」。そして次は実践の場へ

ー入学してから1年以上経ちましたが、この1年で感じる変化は?

佐々木:同じものを見た時に得られる情報量が圧倒的に増えましたね。それに習得するスピードも速くなり、より深く理解できるようになりました。基礎からしっかり学ぶことで、新しい技術が出てきても、本質を見抜く力が鍛えられたのだと思います。

小手先の技術を習得しても、基礎という地盤が固まっていない上に何か建てたところで、すぐにその技術を忘れてしまったり、自分で応用しようと思ったりした時に行き詰まる。僕自身、独学で4年やってきたのでその感覚がすごくわかるんです。それとー

ーそれと?

佐々木:それから、人に頼ること、ですね。一人で黙々と作業していては、視野が狭くなってしまい、時間ばかりかかって結局解決できないという経験もしました。今ではつまづいたらすぐに「分からないんです」と人に聞きにいけるようになりました。

ー42東京に求めていたものは掴めましたか?

佐々木:独学で勉強していた頃は、成果物はあってもソフトウェアエンジニアとしての力がついているかというと、ちょっと怪しかった。もちろん42東京でがっつり学ぶ基礎だけでは成果物には繋がらないし、短期的に目に見える形にもなりにくい。長期的にじわじわ来るものなんです。だけど、基礎を学んでいるというのは強い武器になるはずで、これから先ソフトウェアエンジニアのキャリアを歩む上でも、自分をしっかり支えてくれる地盤になってくれると思います。

ーハードウェアとソフトウェア、両方の武器を手に入れましたね。

佐々木:42東京で鍛えた基礎の地盤は何十年でも使えるはず。この先ソフトウェアエンジニアという長い道を歩くときに、自分自身を支え、鍛えてくれる場所は42東京のカリキュラムとコミュニティだと思っています。

高専でハードウェア系をやるために学んだ数学や物理も、今すごく活きている。これから先も、IoTなどのハードウェアとソフトウェアを連携させるようなものを作るときにハードウェアについて勉強することに抵抗がないと思います。

ーこれからの目標は?

佐々木:最近、2023年卒の形で就職活動を始めました。42東京で学んだ基礎がどのように使えるかというのは、実際の開発現場に入ってみないと分からないので、実践の場に出てみたいんです。なので今の目標は就職をすること。そして、働きながら42東京を継続していくことです。実際の業務で学べることと42東京で学べることは、異なるけれども密接に関わっていると思うので、自分の体力が持つ限りは両立したいです。

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佐々木潤一 / Junichi Sasaki
高専時代に電子回路や機械設計などについて学びながら、放課後に趣味としてプログラミングを始める。その後もプログラミングを続けるが独学での限界と基礎の重要性を理解し、カリキュラムとコミュニティを求め42 東京へ入学。
今まで書いてきたプログラムと42東京で学習している基礎が繋がっていくのを感じながら日々コーディングを行っている。
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企画・取材・執筆:風間夏実

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