社会に求められるスキルとは?僕が考える、将来のために今学ぶべき3つのこと
フランス発のエンジニア養成機関『42東京』。
今回インタビューした佐々木 雄大(ささき ゆうだい)さんは、高校3年生の時、将来のために今学ぶべきこととして「英語」「経営」「プログラミング」の3つの目標を定めました。その後、佐々木さんは「プログラミング」を学ぶ場所として『42東京』を選択。2020年11月に入学してから現在まで、主体性を持って勉学に励んでいます。
大学では経営学を学び、『42東京』以外でもインターンに参加することでプログラミングの実務経験を積んでいるという佐々木さん。自身の目標のために計画を立て努力することで、着実に前進しているように見える佐々木さんですが、そんな彼でも入学試験『Piscine(ピシン)』を受けた際は「なにもできない自分」を突きつけられ、絶望的な気持ちにまでなったそうです。
高校を卒業してから約1年。最初は地獄に思えた『42東京』も、今では佐々木さんにとって大切な「青春」の場所になっていると語ります。そこで今回は、改めて佐々木さんの過去や今行っている努力、そしてこれからの目標について詳しくお話を聞きました。
将来のために今学ぶべき3つのこと。プログラミングを通して「ものづくり」の面白さに気づく。
ー佐々木さんは高校生の頃から『42東京』で学ばれているそうですね。
佐々木:はい。『42東京』に入学した当時は高校3年生で、プログラミング経験はほぼゼロの状態でした。
ープログラミングを学び始めようと思ったきっかけは?
佐々木:高校3年生になり、自分の将来について考えたことがきっかけです。自分が将来やりたいことは何か考えたところ「社会にインパクトのあるサービスを生み出したい」と考えるようになりました。これは、起業家である祖父への憧れもあると思います。一度きりの人生だからこそ、自分も何か大きなことを成し遂げたい。では、その目標を実現するためにはどうするべきか?そこでさらに僕は考え、「自分ができそうなこと」「自分がやりたいこと」そして「今社会で求められていること」として「英語」「経営」「プログラミング」の3つを学ぶことを決意しました。
ーなるほど。そのような目標を設定されたんですね。
佐々木:実際、高校3年生の時に目標に掲げていた「英語」は今も変わらず自分で勉強しており、「経営」に関しては大学で経営学を専攻しています。「プログラミング」は基礎部分は『42東京』で学び、実践的なものはインターンシップ先の企業で学んでいるので、着実に「英語」「経営」「プログラミング」の3つを日々学ぶことができています。
ー自分の将来のために、一歩ずつ着実に前進されてますね!
佐々木:当初は「自分の将来のために」と設定した目標ではありましたが、経営学にしろプログラミングにしろ、学んでいるものはどれも面白いので楽しく続けられています。特にプログラミングは「プログラミングならではの面白さ」を知ることもできたので、学び始めた時よりもずっと楽しくできるようになったと感じます。
ープログラミングならではの面白さとは?
佐々木:プロジェクトを自分たちだけで最初からやる場合、基本的には「機能が何もない状態」からスタートし、試したり直したりしながら、少しずつ目標に近づけていくというプロセスを繰り返します。この繰り返すという作業が自分は特に好きで、この時が1番強く「ものづくり」をしている感覚を味わうことができるんです。「ものづくり」を好きだと感じたのはプログラミングが初めての経験だったので、プログラミングを通して「ものづくり」の面白さに気づけたのは良かったなと思います。
新規性を感じ、直感的に受験を決めた『42東京』
ーそもそも『42東京』を知ったきっかけは?
佐々木:テレビで『42東京』についてのニュースが流れたそうで、それを見た親から教えてもらいました。
ーテレビニュースがきっかけだったんですね。実際『42東京』のどのようなところに興味を持ちましたか?
佐々木:世界各国にあるエンジニア養成機関であるということと、その中でも東京校は開校したばかりであるということですね。あとは「P2P」と「PBL(Project Based Learning)」という教育の形をとっていることにも新規性を感じました。と言っても理由を述べられるのは2割くらいで、あとの8割は直感ですね。直感的に良いなと思いました。
「なにもできない自分」を突きつけられた入学試験。1ヶ月間で得たものは「自分で調べる力」と「やればできるという自信」。
ー入学試験『Piscine(ピシン)』を受けられたご感想は?
佐々木:しんどかったです。初日が1番しんどくて、何をやればいいのか全然わからない。与えられる課題も当然わからない。「なにもできない自分」というのを突きつけられた感じでした。おそらく参加していたほとんどの人がそのような気持ちになっていたはずで、初日の時点で300〜400人近い数の受験者がいたと思うのですが、その半分くらいは脱落していきました。やはり相当きつかったんでしょうね。
ー絶望的な気持ちを、その日のうちに切り替えることはできましたか?
佐々木:いや、なんかもう、その日は夜ご飯も食べれなくて……。実は9月の『Piscine』を受けるために、高校から4週間ほど休みをもらっていたんです。なので、本当は辞めたいくらい追い込まれていたけれども「4週間休むんだしやるしかない」みたいな。退路を断ってギリギリの状況にいたからこそやるしかなかったし、そのおかげでやり切ることができたという感じです
ーそのような状況から、楽しさを感じられるようになってきたのは?
佐々木:実際、試験の前半1〜2週間は“地獄”だったので楽しむどころではなかったですね(笑)でも、後半1〜2週間でだんだんと楽しめるようになってきて、「試験が終わらないでほしい」と思うようにまでなりました。試験期間中はすごい速度で自分の成長を実感することができましたし、後半になるにつれて仲良くなった人も増えてきたので「昨日まで話していた人と明日には話せなくなる」と思うと寂しくて。終わったあとは「ピシンロス」みたいな気持ちになりました。
ー「ピシンロス」ですか。
佐々木:はい。試験期間中、起きている間は基本的にずっとプログラミングをやっていたので、その中で一緒に試験に参加している受験生との会話が楽しかったんですよね。それに、今であれば簡単に解けるような問題も、当時の自分にとっては難しかったので、周りの受験生たちの協力なしには試験を乗り越えることはできなかったと思います。
ー試験を乗り越えて身についたと感じるものは?
佐々木:「自分で調べる力」は圧倒的に身につきましたね。今まで調べると言っても、WikipediaとかYouTubeくらいしか見てこなかったので、「Googleってこんなに情報があるんだ」とその情報量の多さに驚きました。今ではGoogleで調べたら答えに辿り着けるくらい、調べる力がついたと思ってます。
ー自分で調べて解決する力ですね。
佐々木:あとは「何もわからない状態に慣れる」というのも、試験を通して身についたことかなと思います。試験中は、右も左もわからない状態からスタートして、自分で調べたり、隣にいる受験生に聞いたりしながら、なんとか乗り越えていかなくてはなりません。もちろん最初は戸惑いましたが、「何もわからない」という状態を経験できたからこそ、今後どんな状況になったとしても、最後までやり切る力はついている気がするんですよね。例えばこの先、全く使ったことのない技術を使った新しいプロジェクトにアサインされたとしても、「わからなくてもやればできる」という自信があるので、問題なくやり遂げることができるような気がしています。
時間を最大限活用し、大学と『42東京』さらには複数のインターンを掛け持ちする日々。
ー『42東京』に入学してから生活は変わりましたか?
佐々木:入学してからも、変わらずずっとプログラミングをしていますね。電車での移動中にやったこともあれば、パソコンすらない時に紙にコードを書いてアルゴリズムを考えたこともあります。高校を卒業してからは、新しく大学の授業が入ってきたくらいで、それ以外はやはりコードを書いてます。『42東京』もオンラインですし、大学もオンラインかつオンデマンドなので、生活自体はあまり変わってないです。
ー佐々木さんはインターンへの参加も積極的にされているそうですね。
佐々木:そうですね。『42東京』で勉強するだけでなく、実際に企業で実務経験を積みたいと思いインターンに参加するようになりました。現在はLINE Fukuoka株式会社と株式会社Compassというスタートアップでインターン中です。
ーそこではどのような業務を行っているのでしょう?
佐々木:両社とも2022年1月から長期インターンとして参加しています。LINE FukuokaではLINEスタンプのサービス開発に携わらせていただいていて、具体的にはバグ修正から新機能の要件定義・開発をするといった仕事です。Compassでは構想段階の新規プロジェクトの各設計から開発までを経験させていただいています。
ーインターンの他にも何か活動はされてますか?
佐々木:インターンの他だと、コードジムアカデミーというプログラムに参加して、アプリ開発をしたこともあります。『42東京』の学生が情報を共有しているのを見て、無料だし、面白そうだと思って参加してみました。僕が参加したものは、半年間のカリキュラムのうち、前半の3ヶ月でCS50をやり、後半の3ヶ月でチーム開発と発表会を行うという内容でした。
ーどのようなアプリを開発されたのですか?
佐々木:4人のチームで、SeeKiee(シーキー)という募集掲示板のアプリを作りました。チームで作るという経験があまりなかったので、自分としては結構大変だった思い出があります。
『42東京』は自分にとって、がむしゃらになれる「青春」の場所。
ーこれからの目標は?
佐々木:長期的な目標で言えば、やはり「社会にインパクトのあるサービスを生み出す」ということ。そしてそれを実現するために、フリーランスとして受託できるようになることを中期的な目標として考えています。最初から自社のプロダクトやサービスをやるというより、まずは今自分が持っているスキルを元に、何かお金を生み出せるようなことがしたいです。幸い『42東京』には、実際にフリーランスとして仕事を受託している人たちも多く存在します。なので、その人たちのお仕事のお手伝いをさせてもらったり、一緒にプロジェクトに参加させてもらったりするところから始めたいと思っています。
ー『42東京』の中には良い先輩がたくさんいらっしゃるんですね。
佐々木:そうですね。絶対に関わらなかったであろう人たちと、生徒という関係性で繋がれるのが『42東京』の良いところだと思います。『42東京』で出会い、仲良くなって、何か一緒に挑戦できる関係になる。なので、自分にとって今はとても良い種まきの期間だと思っています。
ーそれでは、佐々木さんにとって『42東京』を一言で表すと?
佐々木:2つで悩むのですが……。1つは「イノベーション」。これは『42東京』を表すのにぴったりな言葉だと思います。新しい教育の形を試みている時点で、すごくイノベーティブですし、学生として参加する人たちもイノベーティブな人が多いと思います。
ーもう1つは?
佐々木:もう1つは「青春」ですね。自分の思う青春の定義は、何か目の前のことに対してがむしゃらに100%を出して頑張って取り組む、ということ。後になってその瞬間を振り返って見ると、当時は辛かったけれど良い思い出になっているとか、自分の成長の糧になっていることに気づくと思うんです。そういうこと全てが青春だと思うので、まさに『Piscine』や『42東京』自体が、青春だなと感じています。
佐々木雄大 / Yudai Sasaki
高校3年生の時より『42東京』でプログラミングを学ぶ。大学では経営学を専攻。LINE Fukuoka株式会社とスタートアップ企業でエンジニアインターンとして勤務するかたわら『42東京』で出会った仲間と開発案件に携わる。趣味のサウナには週2日通っている。
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企画・取材・執筆:風間夏実